恋の相手は強引上司
やっぱりこんな服装じゃだめだったかな。

一馬の服装は厚手のTシャツにニットパーカーとジーンズ。

普段のスーツ姿も似合っているが・・・・

基本足が長くてすらっとしているからなんでも似合うのだ。

そんな人と私が昼間から一緒に歩いたりなんかしたら

あまりのアンバランスの悪さに視線を浴びるんじゃないかと不安になる。

ところが・・・

「その服似合うじゃん」

一馬が運転しながら私の服を褒めた。

もちろん男性から服を褒められるなんて初めてだ

ここは素直にありがとうと言うべきなんだろうけど・・・・

「そう・・かな・・・」と素直になれない私

だけど一馬は会社では見せることのない笑顔で

「うん。かわいいよ」とさらっと言った。

可愛いだなんて言われたことあったっけ?

小さい時ならともかく20歳をすぎて『可愛い』なんて言葉など

一度も言われたことがない。しかも男性から

たった一言なのに私は耳まで赤面してしまい、その顔を見られたくなくて

横を向いてしまった。


しばらくすると顔の赤みも引いたので気になっていることを聞いてみた。

「ねえ・・・今からどこに行くの?」

「ん?いいところ」

とだけ言ってそれ以上は教えてくれなかった。

だけど一馬の表情はとても楽しそうに微笑んでいた。
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