君と、美味しい毎日を
13.ウェディングケーキ
突然のプロポーズから約一年、

私達は今日、結婚式を迎える。


初夏に向かう爽やかな日差しのもと、チャペルのある庭には溢れんばかりの白い薔薇がキラキラと輝いている。
このお庭がホテルの一番の自慢らしい。


駅から少し歩くのが難点だけど、落ち着いた環境とクラシックな雰囲気が素敵な小さなホテルを私達は式場に選んだ。


ーコンコン。

新婦控室の扉がノックされる。


「もう準備は出来た?」

シャンパンベージュのタキシードに身を包んだ昴が顔を覗かせた。
柔らかい色合いのタキシードにブラウンのベスト、ブートニアは白い薔薇。

上品だけど、着る人を選びそうなその装いを昴は難なく着こなしていた。



「うん、やっと終わった。準備だけで、ヘトヘトだよ」


びっくりするくらい朝早くに式場入りして、顔にも身体にもファンデーションを叩きこんで、中世ヨーロッパのコルセットみたいな下着に身体中の贅肉を詰め込まれた。

あげくに絶対似合わないであろう付け睫毛までされそうになって、それは必死に拒否した。


「やっぱりいいね、そのドレス」


昴は私の全身を眺めて、満足気に微笑んだ。


私のウェディングドレスは昴が選んだものだ。

数えきれない程に並べられた真っ白なドレスを前にして、『違いがわからないから安いのでいい』と言ったら、『じゃあ俺が選ぶ』と楽しげに言うので、全てお任せした。


昴が選んだドレスは、レースもフリルもキラキラした刺繍も何もないシンプルな一着だった。

けれど、上質なシルクで仕立てられているからか、とても華やかだ。


ロールカラーと呼ぶらしい、大きく開いた襟元は肩のラインをとても綺麗に見せてくれるし、Aラインのスカートと長めのトレーンがウエストを高くかつ華奢にしてくれる。

髪の毛は高めの位置でまとめ、ドレスと同じ生地のボンネを飾った。
ブーケは昴のブートニアとお揃いの真っ白な薔薇。


昴はさすがにセンスがいい。

鏡に映るのは、普段の地味な私とは全く別人の上品な花嫁だ。

それでも、昴と並んだら引き立て役になっちゃうんだろうけど・・。


昴が私のすぐ後ろまで来て、パールのネックレスをつけ直した。

「うん、このくらい長い方が綺麗」

「そうなの? ありがとう」

「清楚で上品で、瑶のイメージ通りだ」

褒められなれてない私は何だか恥ずかしくなってしまう。

「こんな華やかなドレスとかメイクとか全然似合わなくて、おかし・・」

「似合うよ。 すごくよく似合ってて、ほんとに綺麗」

昴が私の言葉を遮って、妙に力強くそう言った。
なんだか、真剣な顔をしてる。

「ついでに言うと、浴衣も絶対に似合う。だからさ、今年は浴衣着て一緒にお祭り行こう?」

































































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