君のそばで会おう ~We dreamed it~



想太は、何も言わずに可南子の前から去って行った。

可南子は想太の事をもうこれ以上傷つけたくなかった。


でも今の私は確実に想太を傷つけている・・・


可南子は途方に暮れてエレベーターの方を見ると、廊下の先に美咲と瀬戸がいることに気付いた。


ヤバい・・・
私と想太のやりとりを見られたかも・・・


可南子は、何もなかったような顔で二人の近くへ歩いて行った。
美咲は瀬戸をここに連れて来た事を後悔していた。


「可南、さっきのは何?」


可南なんて、久しぶりに呼ばれた・・・


「あ、ちょっと部長に廊下での歩き方を教えていたの・・・」



「歩き方?」



「そう。
だって、私は今、部長の教育係なんだもの。

アメリカ帰りで日本の生活を忘れているからって、課長に頼まれたんだ」


瀬戸は可南子の苦しい言い訳を不審な顔をして聞いていた。






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