君のそばで会おう ~We dreamed it~



可南子は、言われた時間より早くにミーティングルームに着いた。
すると、先にもう一人の異動予定者が想太と面接をしていた。

可南子は窓に面した廊下の隅で自分の番を待っていると、10分程で名前を呼ばれた。


「失礼します」


可南子は会社用の顔を装ってミーティングルームに入ると、そこには冷めた目で可南子を見つめる想太が座っていた。


「・・・・・・」


可南子は想太の顔を見たら何も言えなくなった。


「まずは、理由を聞かせて」


想太が低い声で聞いてきた。


「この異動届は、去年の10月頃に出したものなの。
理由は、もうそろそろ地元に帰ろうかなと思っただけ・・・
この間の4月に、本当は、異動できそうっていう話だったんだけど、会社の事情で流れちゃったみたい。

だから、私もすっかり忘れてたくらいなの」



「で、可南子はどうしたいの?」


理由を聞いた後でも、想太の目はささるように冷たかった。





< 94 / 246 >

この作品をシェア

pagetop