君のそばで会おう ~We dreamed it~
「どうしたいって・・・
今さら、異動届をひっこめるわけにもいかないし、決まった事にちゃんと従います」
「長崎に行くのか?」
「うん、一応、希望していた場所だから・・・」
想太は急に立ち上がり、可南子の方へ歩いてきた。
可南子の肩を掴み、ずっと可南子の目を見ている。
「他になんか理由があるんだろ?」
「別にないよ」
「じゃ、この異動は俺が取り消す」
想太はそう言うと、可南子を自分の隣に座らせた。
「想ちゃん、仕事に私情を持ち込むのはやめて。
もう、前に決めたことなの」
「前に何があった?」
「何もない。
長いこと働いてれば、色々な事があるの。
それをいちいち全部想ちゃんに言わなきゃいけないの?」
可南子は、絶対に想太には言えない理由があった。
結婚手前までいって別れた元彼が、この会社にいることを。
そして、その彼の為にも、ここを離れたいと思っていることも・・・