美しき夜、北斗七星が輝く







「トーマ?話あるノ?」




連れて来られたのは

屋上へ続く階段の途中

屋上へは鍵がかかっていて行けない

本来なら今僕たちが立っているこの場所も

立ち入り禁止になっている

張ってあるロープをくぐり抜け僕たちはここへ来た

…ここなら誰にもバレない




「莉々花
黒木さんにも言ったし
僕にだって言っていたよね

どうして莉々花は
転校してきてから今日までずっと
僕の傍にいるんだ?

1日だけって約束したよね?」




どうして最近毎日一緒にいるんだ

1日だけの約束だったはずなのに




「…ゴメンネ
本当は前から言うべきだったんだヨネ

実はネ
ミヨちゃんから言われたノ

“白羽クンは優しいケド
あたしの気持ちを知らナイ
一緒にいるダケで疲れる”って…」


「……黒木さんが?」


「それ聞いてワタシ
トーマが可哀想に思えてきたノ

ダカラ…
ミヨと一緒にいるより
ワタシと一緒にいた方が
楽しいんじゃないかって思えたノ

ゴメンナサイ…トーマ
黙っていて…」






涙を流しながら僕に頭を下げる莉々花

僕は何もしないで

ただ呆然と立ちつくしていた






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