イジワル社長と偽恋契約
私達は廊下の端に寄って、壁側の方を向きながらコソコソと話す。

こんな光景見たら誰でも二度見するか、クスクス笑うだろう…






「社長って意外と優しいんですね。ずっと誤解してました」

「当たり前だろ。俺は厳しい時もあるが優しい時は優しい」


その言葉にクスクスと笑い周りに誰もいない事を確認した後、私は旭さんを真っ直ぐ見つめてお礼を言う。





「今日ありがとうございました。本当に助かりました…あとさっきの……社長があんなふうにフォローしてくれなかったらちょっと危なかったです私…本当にありがとうございます!」


ほろ酔いだからか、それとも旭さんに心を開きつつあるのかわからなかったが…

今日の私はいつもよりも彼に素直になれる。





「あの時さすがに俺もムッと来たからな…お前の気持ちになって考えみたらつい…あの夫婦少し鈍感過ぎないか?」

「…ちょ、ちょっと待って下さい!さっきから何言ってるんですか?私の気持ちって一体…」

「お前あの夫婦の旦那が好きなんだろ?」


キョトンとして「だよな?」と続ける旭さんに、私はカァァと顔が熱くなる。






「本当に何言ってるんですかっ!!?そんなことっ…」

「誤魔化すなって、バレバレだから」

「…」


見透かしたような旭さんの言葉に私はこれ以上何も言えなくなってしまった…

ここまで見抜かれているのだからもう何を言い返したって意味がない。
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