イジワル社長と偽恋契約
一瞬でも甘い展開を期待した私は何だったのか…

急に現実を突きつけられた。






「寒いなら俺の隣にいればいい」

「え、あ…はい……じゃあ」


地べたにあぐらをかいて座る旭さんはそう言うと仕事モードになっていた。

私は言われた通り彼の隣に正座して座ると…





「もっとくっつけよ」

「あ…」


私の腕をグイッと引っ張る旭さんは私の横にぴったりとくっつきながら仕事をし、

いつエレベーターが開くのかとそわそわしているのは私だけ。


そして、旭さんに何度「落ち着け」や「そのうち開く」を言われたんだろう…

彼の言った通り、それから一時間後にエレベーターの扉は開き無事に午後の会議に間に合った。









「…さすがに疲れたな」


取引先からの帰りの車の中で、旭さんは珍しく疲労を隠せない様子。




「今日は朝から色々ありましたし当然ですよ。今夜はゆっくり休んで下さい」

「良かったらこれから飯でもどうだ?」

「え、いいんですか?」

「いいから誘ってるんだろう」


突然の旭さんからのディナーの誘いに、私も仕事モードから一気に素に戻る。






「はい!行きます!!」

「恵比寿の寿司屋に予約入れておいてくれ」

「分かりました!」


今朝はどうなる事かと思ったけど、やっぱり今日はいい日だな!

胸の中が一気にお花畑になった気分のまま、私はまま旭さんと一度会社に戻った。






「今日は飲み過ぎるなよ?」

「わかってますよ」


旭さんにからかわれながらオフィスに入ると、受付の社員が小走りでこっちに近づいて来た。





「社長。お疲れ様です…あのっ…」

「どうした?」


社員の顔からして何かあったのを察した旭さんと私は、急に真剣な顔になり彼女に注目する。
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