妖しの姫と天才剣士
「いやぁぁぁああ!」
赤い村。微笑む母の姿。
その背中に伸ばしているのは私の小さな手。
燃えていたのは懐かしい私の故郷。
襲ってきている赤目の妖は今までのなによりも怖くて。
何で、何で、何でっ!
今、思い出すの。
ガクガクと震える。
あり得ない。
私が怯えるなんて……!
あやか……しに?
指から柄が落ちそうになる。
力が入らない。
そんなことをしている間に牙は目前に迫っていて。
腕も動かない。
「くっ、そが」
あぁ、終わりだなって。
やけに冷静な私がいた。