妖しの姫と天才剣士



『やっぱり君は僕に似ている。ライたちを通して見る限りはそんなにも思わなかったのに』


雷狼さん? それに私に似ている人というのはまさか。



あなたが美琴さんなんですね。



そう言うと返事は返ってこなかった。でも、ふっと笑いを零したのが分かる。


やっぱりそうなんだ。


だったら、尚更こう思う。



早く、早く現実世界に帰してください!



私は総司を助けなくちゃいけない。


総司と離れたくない。


そのためには早く元の場所に戻らないといけない。


ここにはない刀を握るように右手に力を込める。



『ごめんね。沙雪ちゃん。それはできないんだ』



え?




『今から君には僕と同じところにまで堕ちてもらう。

人を愛したことを悔やんで、

そして人を憎むようになるまで徹底的にね?』




そうすればきっと楽になるよ、と囁かれた瞬間。


色のなかった世界が歪み始めた。


< 263 / 307 >

この作品をシェア

pagetop