王子様はハチミツ色の嘘をつく

王子様はハチミツ色の嘘をつく



「ん……」


翌朝、身体中に愛された余韻が残っている甘いけだるさの中、ベッドの中で何度か寝返りを打ってから、うっすらと瞳を開ける。

ここ……静也さんの部屋……。

昨日は実家訪問もうまくいったし、たくさん彼を感じられて素敵な夜だったな。

今何時だろう。今日もお休みだから、急ぐ必要はないけど……。

レースのカーテンから漏れてくる朝陽の中しみじみと幸せに浸りながらぼうっとしていると、ふと目に入った自分の左手。

そこになぜか見慣れない宝石がきらきらしていて、寝ぼけた思考が一気にクリアになっていく。

な……なに、これ……。薬指に、とんでもなくでっかいダイヤのついた指輪……。

もしかして、いや、もしかしなくても静也さんだよね……?

エンゲージリングは、私の親に結婚の許しをもらえたら一緒に買いに行こうという話だったけど、どうして……。


ガバッとベッドから上半身を起こして辺りをきょろきょろと見渡す。でもそこに静也さんの姿はなく、私は素肌にシーツを巻き付けて廊下をぺたぺた歩き、リビングダイニングに続く扉を開けた。


「し、静也さん! これ……っ!」


ソファで優雅にコーヒーを飲みながらくつろぐ彼のもとに詰め寄って指輪をずいっと見せると、彼はコーヒーカップをテーブルに置いて、事もなげに言う。


「やっと目が覚めたんですね。スワロフスキー、綺麗でしょう?」

「スワロ、フスキー……?」


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