鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語
わたしの隣の席の瀬田君、その目の前の彼女。
瀬田君は、わたしの存在に一向に気づいていない様子だ。

いつもなら、気づいてくれるのに。
仕事モードじゃないこともあるんだろうけど、彼女しか見てないって感じ。

瀬田君がどんなに彼女のことを想っているのか、瀬田君を想っているわたしはわかる気がした。

「美空、手を出して?」

「え?」

いいから、という瀬田君の言葉に、魔女ちゃんは両手を出した。
テーブルの上にぽんっと差し出された両手は、小さくて細くて可愛らしい。
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