鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語
そのとき、ふわりと風が吹いて、わたし達の頬を撫でた。
今は真冬だ。
凛と冷たい風なんだろうけど、驚きすぎたわたしには、冷たさを感じなかった。

美空の髪が、少しだけ、風に舞う。
あ、見つけてしまった。
首筋のキスマーク……。
ダメだよ、瀬田君。
そんなとこにつけちゃ……。

あ、わざとか、
瀬田君のことだ、わざとだ、絶対。
きっとこれも、俺のだ、と見せつけるためのものなんだろう。

瀬田君の深い深い愛情と、二人の絆。
それは、美空を更に可愛く美しく、変化させているんだ。

でもそれでまた男子を魅了しちゃうって、どうなの、瀬田君的には。
わたしはくすくすと笑いながら、カバンとベリーパイを手に、家路につくのだった。

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