お気に入り同期と恋人ごっこ



社内に5時になったことを表すベルが鳴り響く
『ヨシ!今日は奥野さんと晩御飯だ』
いつも以上にメイク直しに気合が入る。


―――そんなに気合入れても相手は
恋の悩みを相談してくるだけだぞ!
バカじゃないの・・・そんなにきれいにしても
見てもくれないのに―――


あたしを映す鏡がそう言ってるようで・・・。


「この鏡ムカつく!!!」


なんて独り言言ったり。


【いつものところへ6時
遅れたら罰金】


奥野さんから昼過ぎに届いたLINE。


いつのもところ・・・居酒屋


そしていつものところで
いつもの話・・・。


そう奥野さんの愚痴・・・。


これで何回目?ううん何人目?
あたしの記憶の中では今回で3人目。


約束の6時より20分も早く着いた
奥野さんが到着したのはギリギリの5時57分。


外で待ってたあたしに
「中で待ってればいいのに
あれから部長に用事を言いつけられて
帰るに帰れなくなったから焦ったよ
遅刻したら罰金!何て言った手前ね」


「あ~あと3分だったのにぃ~おしいな・・・
今日は美味しいものいっぱい食べて
全部奢ってもらえたのにぃ・・・」


「あはは残念!」


ほとんど会計は割り勘している
奥野さんは出さなくていいって
言ってくれるけど・・・
同期だし・・・奢ってもらう関係でもないし。




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