お気に入り同期と恋人ごっこ
「最低だな」
「見損なったでしょ あたしのこと
そんな女なのよあたしって」
「言葉がないわ!
で?あの日に言い合いになったのか?
なんで?」
奥野さんと誠があたしの部屋で
鉢合わせした日。
「まぁ~色々あってね
結局奥野さん常務の娘と
付き合い始めたらしいんだ
だったらあたしは何だったの?
なんでバスケを見に行ってたの?
みたいなね」
「娘と?」
「あっ!!!内緒ね
知らないふりしてて
実は美也子さんなんだ」
「はぁ?美也子?」
「ちょっと言い合いになって
あたし誠と付き合うからもう
来ないで!って言ったら
オレは美也子さんと付き合うから
その報告に来ただけだって」
「はぁ~なるほど!!」
「あっ!絶対言わないでよ
知らないふりしててよ」
「知らないふりはしてやるけど
お前の気持ちを聞かせろ!」
「あたしの気持ちって?」
「あのくそ野郎を好きなのか?
ってことだよ」
「何回も言わせないでよ
なんとも思ってないって言ったじゃん」
「そうか・・・それなら
オレとやり直そう」
「はぁ?なんでそーなるかな?」
「オレはお前の事が好きだ
くそ野郎を好きじゃないなら
問題ないだろ?」
「それとこれは違うよ
誠とはもう終わったことだし」
「別にまた始めればいいじゃないか」
「ごめん・・・あたし
誠とは友達のままでいたい」
「オレって遠回しに振られてるのか?
これって・・・?」
「す・好きな人がいるから
今は誰かと付き合うとか
考えられないんだ」
「それってくそ野郎のことか?」
「違うから!」
誠がしつこいから
つい『そーよ!』と言いそうになる。