【完】恋のおまじないNo.1
この天然のせいで、俺はますます本音を言えなくなる。



リビングのソファが見える、ゆめとは少し離れたダイニングのイスにわざわざ腰掛ける。



スマホをいじりながら、興味なさそうな素振り。



だけど耳は、ちゃんとゆめの方へ向けられている。



用があるなら、さっさと言えよな。



どうせくだらないことだろうけど、聞いてやるから。



「あのね、実は…カズマに頼みたいことがあって」



俺に頼みごと?



ゆめの満面の笑みをチラ見して、慌ててスマホに視線を戻す。



やばい、ニヤけそうになった。



…相変わらず、かわいいよな。



だけどホントのことなんて、言ってやらねー。



こいつの子供っぽさは、筋金入り。



誉めたところで、余計かわいく笑うだけだろうから。



それってかなり、心臓に悪い。



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