フルブラは恋で割って召し上がれ
 
「あいつ、常務の娘と付き合ってる。前から噂はあったんだけど。先週辺りから人目もはばからず、会社でイチャイチャ始めたから変だなって見てはいたのよね。杏花からは別れたとは聞いてなかったし」

「……そうなんだ……」

 和也と知り合ったのは、前の職場にいたとき。
 取引先の営業マンで、会社で何度か会ううちに親しくなっていって、一緒に食事をしたり飲みにいったりするようになった。
 すごく女慣れしてる感じはしたけれど、その頃はまだ私も若くて、漫画の主人公みたいに愛されガールになってることに酔っちゃっていたんだと思う。

 初エッチは和也のアパートに始めて行ったとき。SEXするのは初めてじゃなかったし、「俺の部屋に行く?」ってデートの途中で、ぎゅっと手を握られて言われれば、それがなにを意味するのかってことは承知の上。
 キスのあとですぐにベッドに押し倒されて、ほとんど着衣のままで乱暴なくらいに挿れられちゃって。

「ごめん。杏花、すっげぇ可愛いから我慢出来なかった。その顔、最高にソソる。――俺だけに見せてよ、その顔。もっと……」

 そんなこと言われて、私もその気になっちゃったんだよね。――うん、若かったから。

 でも、社会人だもの。会社での同僚との付き合いや取引先との接待もあるから、和也のことばかりを再優先にするわけにもいかず。
 そうこうしているうちに、和也が浮気をし出したんだよね……。酔った勢い、とか、強引に誘われて、とか色んな言い訳聞かされて、許してた私もバカだったと思う。




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