フルブラは恋で割って召し上がれ
次の日の朝。朝食の準備を終えた頃にようやく目覚めた斎藤氏。
しばらくぼんやりと天井を眺めていたけれど、やっと自分の部屋じゃないことに気付いたのか、驚いた様子でガバッと飛び起きていた。
そしてベッドの側に私がトレイを持って立っているのに気付いて、更にびっくりしたようで慌てて布団を跳ねのけベッドから降り立つ。
「夏目さん? なぜここに?」
私がそれには答えず、即座に回れ右をしたのを見て斎藤氏はようやく自分がトランクス一枚の姿に気付いたようで、背後から「おわっ!?」って間の抜けた声が聞こえてきた。
「おはようございます。服はハンガーにかけて壁にかけてあります。それから、昨夜ゆうべ、企画部の黒木さんから連絡がありました。『ブランシェ』さんとの打ち合わせ、11時に変更になったそうです。朝食の準備をしましたので、召し上がってください」
斎藤氏が着替えをしている音を聞きながら、私は一気にそうまくし立てる。
「――了解。……ありがとう。君は、食べないのかな?」
もう大丈夫かな? と、そろりと振り返ると、ワイシャツにスラックス姿の斎藤氏はすでにきちんと正座してテーブルについていた。
「あ、私は後で食べるので……」
心の中で『早く食べてお帰りください』って付け足してみたり。
「一緒に食べよう。食事はひとりより大勢の方が楽しい」
「は、はぁ……」
言うことをきかないといつまでも箸を取らず、両手はきちんと膝の上で待機されそうで、私は渋々と自分の分のおかずとご飯を持って斎藤氏の向い合って座った。