おいてけぼりティーンネイジャー
「……ごめんなさい、私も。……いつまでも女として見てもらえないって淋しくて……独りで焦ってたんやと思います。」

だから義人さんに今までと違う扱いをしてもらえて、うれしかったんだと思う。
まあ、それは暎さんに言うべきじゃないだろうな。 

「女だよ。ちゃんと、唯一無二の、大事な女性。だからこそ、簡単に手を出せないだけなんだ。知織といると本当に幸せで安らげて……たぶん幸せ過ぎて、変化が怖いんだと思う。」
そう言いながら、暎さんは私の頬やひたいに何度も口づけを落として、髪や頬を撫でてくれていた。

「変化?……一回ヤッたら飽きてしまわはるとか?」
私がそう聞くと、暎さんに頬の肉をひっぱられた。
「痛い~。も少し優しく……」

「知織が身も蓋もないこと言うから。」
だって、そういうことでしょ?

「ほな、今後もずっと、私としぃひんの?……したら、もうフェイドアウトするん?……ますます怖いんやけど。処刑の日を待つ死刑囚みたい。」
ポロポロとこぼれた涙が暎さんの手を濡らしてく。

暎さんは、苦笑した。
「バカだなあ。知織は、しっかりしてるようで、何もわかってないんだね。それとも、俺のことをカサノヴァかなんかと勘違いしてない?」

稀代の漁色家を挙げられて、ちょっと笑った。
……私のために、ちゃんとそういう爛れたラブアフェアを終わらせてくれたんやもんね。

「恋愛初心者ねんもん。本から得た知識で頭でっかちになってるんやと思う。経験者がちゃんと導いてくださらないと。」
私の涙が止まったことに気をよくしたらしく、暎さんの瞳が慈愛の色に変わった。

……お父さんみたい、って言ったけど……父の瞳にはない熱っぽさに気づいた。
ちゃんと、想ってもらってるのに、何故わからなかったんだろう。
本当に私は馬鹿な子供だったんだな、と苦笑した。

すると暎さんは逆に、笑顔をおさめて真剣な顔になって、近づいてきた。
唇が唇で塞がれた。

初めての、キス!

驚いたけど……身体が震えるほどうれしかった。
目を閉じて、暎さんの背中に手を回した。

「かわいい。知織。俺のものだよ。」
一度唇を離して、吐息まじりにそう囁かれて、私の頭は真っ白になった。

とても声は出ないので、うなずこうとしたけれど、うつむかせてもらえず……むしろ顔を上げさせられると、今度は深い深いキス。

ああ……大人のキスだ。

何て心地よくて、何て甘美で、何て……いやらしいんだろう。

身体の中心がドロドロに溶けていく……。
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