おいてけぼりティーンネイジャー
「……そうじゃなくて、知織の邪魔をしないでほしいんです。」

慌てて俺は手を振った。
「してないしてない!ちゃんと、知織の勉強してる間は、俺も曲作ったり本読んだりして、邪魔してないから。俺のせいで知織が志望校落ちたらかわいそうだもん。あんなにがんばってるのに。」

やれやれ、と大村さんが苦笑した。
「無粋なこと言いたくありませんのに、察してくれはらへんのですなあ。一条さんがいてはると、知織が普通の高校生活を送れんのですわ。」

ふつう?
普通って、なんだ?

「別に俺、知織に学校を休ませたりしてないし、勉強の邪魔もしてないけど。」
「どうせ隠れてコソコソしか逢えませんやろ?そんなもん健全な高校生の恋愛ちゃいますわ。」
大村さんにそう言われて、俺はちょっと堪えた。

……確かに、今は外を一緒に歩くこともできない。
けど、それは!
「今までは隠れて逢ってたけど、もう知織も16歳過ぎてるから、ご両親の許可さえもらえればいつでも結婚できます!そこさえクリアーできたら、隠す必要もないと思ってます!」

俺が負けずにそう言うと、大村さんは裕子と顔を見合わせた。
「……何で許可できますかいな。あほらし。淫行で訴えるとかそんな恥ずかしいことはしませんけどなあ、世間様に顔向けできひんことしてる自覚あるなら、さっさと別れてください。」

「別れません!」
条件反射のように俺はそう叫んだ。

「……一条くん……私に少しでも悪いことしたって思ってるなら、知織を解放してやってください。」
裕子が俺の目を見据えてそう言った。
……それとこれとは別、と言うわけにはいかないのだろうか。

「俺たちは……何のしがらみもなく出逢い、お互いに惹かれ、恋に落ちたんだ。裕子のことは本当に申し訳ないと思ってるけど、知織をあきらめる理由にはできない。むしろ知織がいじらしくて愛しい。今度こそ俺が守ってやりたい。」

俺の心からの言葉は、裕子を傷つけたかもしれない。
そして、大村さんを怒らせたらしい。
「……ようそんなこと、言えますなあ。ほんまに、一条さんは……中二病っちゅうんですか?永遠に少年でいらっしゃるんですなあ。……知織は賢い子ぉです。いずれ一条さんのほうが見切りつけられはるんちゃいますか。……それまでせいぜいお励みやす。」
大村さんはそう言ってから立ち上がって、座敷を出て行った。
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