双姫 Ⅰ

短い平穏



『……類、落ち着いたか?』


「んん……グズッ……ん。」


可愛いな、おい(笑)


『そうか、楽になったか…??』


「うん!
なんかガキん時の俺を
抱き締めて貰ってるような感じだった!!」


『!?』


言ってもないのに気持ちって伝わるんだ…。


「俺、昔の俺に会って言ってやりたいよ。

「お前には最っ高の仲間が出来るから
真っ直ぐ生きて来い」って!!」


『あぁ、そうだな…。』


「…ねぇ、蒼翔。」


『なんだ?』


「蒼翔も何か背負ってる気がする。
俺とどこか似てるから分かるんだ。
だから、今度は俺が蒼翔を救うから。」


『……俺は…「総長ー!!」』


私の言葉を遮って屋上に誰かが入って来た。

その人物を視界に入れると直ぐ視線を逸らす。


「お前…疾風か?どうしたそんなに慌てて。」


私が『双姫』として助けた疾風だったから。


「あの…少しお話が……。」


「なんだ?」


「このままここで話しても…?」


「構わない。
ここに居るのは信用出来る奴らだからな。
『神龍』もそれで構わないか?」


「あぁ、気になるから聞かせた貰う。」


「は、はい…じゃあ…。」


マズいな。

このままじゃ
私が『蛇蝎』に気付いた事が
紘にぃ達にバレてしまう。

口止めしとくんだった、私の馬鹿。


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