双姫 Ⅰ


『双覇』は正当な族でしょーが!

『神龍』には掟がある。
初代総長である父さんが作った掟が。


・正当な族を潰さない。

・一般人を巻き込まない。

・未成年は酒、煙草禁止。


なんつー真面目な暴走族って思ったよ。

てか、父さんが作った掟を
息子のアンタが破ってどーするよ。


『紘にぃには俺から言っとく。
にしても腫れてんな…。触るぞ?』


「う゛……痛いッ………。」


私は折れていないかどうか確認する。


『…折れてはねぇな。病院には行ったか?』


「あ、ほっとけば治ると思って…。」


行けよ!?尋常じゃない位の痣だし!
紘にぃ絶対手加減して無いよね!
…シメてやる。


『こっっっんの馬鹿!!来い!』


私は類の左腕を掴んで薬局に入った。


包帯、湿布、ガーゼ…
必要な物を買い、直ぐ外に出る。


『座れ。』


近くのベンチに座り、
横に座るように促すと類は素直に座った。


そーいえばコイツ。
『双覇』以外喋らないんじゃなかったっけ?

…まぁ、良いや。サッサと終わらせて逃げよ。


そう考えながら準備をする。


『腕出せ、俺がしてやる。』


これまた素直に右腕を出す類。


その方が都合が良いと思いながら
テキパキと手当をし、
最後に包帯を巻いてやった。


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