双姫 Ⅰ


「蒼翔、触っても大丈夫なの……?」


『いきなり掴まれるのが駄目なだけだ。
出来た、どうだ?』


「うん、さっきより大分マシになった……。」


『一応病院には行けよ?』


「蒼翔が言うならそうする…。」


良い子だな。偉い偉い。


『じゃあな、俺は行くとこがある。』


「ねぇ、蒼翔!!」


『…ん?』


「学校…もう……来ないの??」


『……さぁな。』


別に行っても良いけど、正直面倒くさい。


「皆…待ってる。蒼翔が来るの。」


『!?』


「玲は…蒼翔が来なくなったのは
自分のせいだって思ってる。」


違う、そうじゃない。
玲のせいなんかじゃない。


「無理に『双覇』に入れようとしてごめん…。
もうしつこく勧誘したりしないから。
だから!学校来ない……?」


誰が行くか。面倒くさい。

頭の中ではそう言ってる。


でも、


『……分かった。』


口から出た言葉は正反対の言葉だった。


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