双姫 Ⅰ

綻び



『あー食った食った…。』


「俺も動けない位食べた……。」


私達のテーブルには
尋常じゃない位の食器が重なっている。


『んじゃ、ちょっと休んでから病院行くか。』


「そだね!そうしよ!!」


類は私の事を信用したのか
最初会った頃と態度が全然違う。

でも、私は類が嫌いな女。
バレたら軽蔑されるよね。

こんな事になるなら
男装なんてしなきゃ良かった。


今頃になって
男装して登校した自分を恨む。


そうしてれば嘘で出来た友達じゃなくて
本当の…って何考えてんのよ。


どうせ今だけの関係なんだから。
私が邦ヶ丘に通うのも目的があったから。
それ以外は必要無い。

でも、この胸の引っ掛かりはなんだろう?


そう考えていると、


ガランガランガランッ!!!


来客を知らせるベルが通常より激しく鳴り、
店員も他の客も呆然としている。


私も驚いて見るとそこには…


「蒼翔!!」


息を切らしている玲、李樹、愁斗、燐が居た。


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