魔王vs神王→私!?
第十六章






ーおよそ百年前・魔界ー







「ハッキリ言ってカナデなんて、ただの飾りだよね、天界に行きたかったよ」

「ねえ知ってる?魔王なんて、この魔界に送られてくる人の情報を整理するだけで精一杯なんだって!」

「まじかよ、魔王ってもしかしたら、天界に送れる人間も魔界に送り込んでるんじゃね?なんてったって、魔王、なんだからな」

「俺さぁ、生きてる頃ボランティアとか結構な数に参加してたんだぜ?
魔界送りなんて、魔王が仕事サボってる証拠だろ!?」

「やってそーう!!カナデって、本当に必要なのかな」






_____ガシャン!!!







音を立てて、鏡が割れた







いや、鏡と言うにははばかられる






魔界を映し出す、魔鏡






それがカナデの手から、滑り落ち、割れたのだ






「・・・・・・・」








かたかたと、細かく震え続けるカナデは、割れて何も映らなくなった鏡からも目を背けた








「・・・怖い」








皆、カナデの前ではへこへこと頭を下げる者達









魔鏡は真実しか映さないため、この姿こそが彼らの本性である








目の前では言わないからこそ、怖いのだ










「仕事、していますよ。ちゃんと・・・」








飛び散った破片を踏みしめ、カナデは魔の湖に行くため、地下階段へと足を運ぶ








その足さえも震えている







もう、毎日魔鏡を見ては、泣きそうになりながら湖とにらめっこしていた









「ふ、ふふふ、ふ、みんな、僕なんて要らないって、思っているんですね、この世界の、全員が・・・

僕は何のために、こうやって仕事をしているんだろう

醜い人間たちを見つめ続けて、見極めて、一日中、薄暗い部屋で・・・」








涙が、湖に波紋をつくった







「湖に映る人間を見ることが出来るのは、神王と、魔王だけなのに・・・

お前たちじゃ、できないのに・・・」







涙で歪む視界は、まったく機能などしていない







それでも。途方もない間眺めていた勘を頼りに、人間を仕分けていく








それを続けていると、明らかに場違いな人間が映った







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