貴公子?いいえ、俺様男です
「早かったな。ちゃんと温まった?」

こくん…うなずく里菜ちゃん。

(なんか、おとなしいな)

「お茶を淹れたから、飲んでて」

そう言い残し、俺は浴室へ向かう。



カチャ…



風呂から出た俺は、里菜ちゃんの隣でお茶を啜る。


ズズズーーッ


ん?

部屋を見渡す。

座っているソファは、ふかふかで、可愛らしい花柄だ。

ふと目に入るベッドは、円形でヒラヒラとギャザーが付いててラブリーだ。


………ッ⁉︎


もしかして、ここ…


「あ"ーーーーっ‼︎ 」

失敗した、失敗した、失敗した⁉︎

「………」

「…里菜ちゃん、

ここって……」

「はい。ラブホですね?」

開き直ったように、淡々と答える。

あ、だからか。さっきから里菜ちゃんの様子が変だった。

「ごめん。ビジホと思ってた。

紅葉の週末なのに、空室で…

ラッキー♪…なんて思ってた」

「そんなことだろうと思いましたよ?」

にっこり笑う里菜ちゃんは、いつもどおりだ。

がっくり、うなだれる俺。





ズズズーーッ

お茶を啜る里菜ちゃん。

「………」

なんだよ…さっきまでオドオドしてたくせに。

ズズーーッ

くそっ…










「なあ、……いい?」



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