貴公子?いいえ、俺様男です
6.

動き始める

三月は決算月だ。一応、うちは株式会社だから、今月は来期の予算やら経営方針やらで忙しい。

うちの事務全般を担当してくれてる上田さんは、前職はある中小企業で、経理を一手に担ってきた。その経験が大いに役立っている。

さて、

「上田さんと里菜ちゃん。ちょっといいかな?」

本日の営業が終わった夜8時、俺は二人に、パリ進出のことを切り出した。

元々は雑貨屋だった店舗を借りることになり、今は店の外観や内装を思案中だということも。

「「………」」

これまでも、何度か『パリへ行くんだ』と口にしてきたが、冗談だと思われていたっぽい。

「アトリエ シュウでは、今までどおり、輸入雑貨や生花、アートフラワーを扱っていきたいんだ。
だから、うちの経理全般も今までどおり上田さんに担当して欲しいし、販売の方は里菜ちゃんにお願いしたい」










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