貴公子?いいえ、俺様男です
「あら!貴女、マイセンが分かるの?」

私の隣にいた生徒さんが、話しかけてくれ、暫くマイセン談義で盛り上がった。

「また、お会いしましょうね。里菜ちゃん」

その生徒さん、井口さんは、他の奥さま方と一緒にタクシーで帰って行った。





ふと気付く。

「あの〜、つかぬ事を伺いますが、シュウさんって、あのお花のシュウさんですか?」

何本もの花を持って、アレンジする姿に見覚えがあった。

「ぶっ…!
うん。僕はここのオーナー兼フローリストだよ?」

ぶっははは…

シュウさん。笑い上戸だったんだ。
暫く笑い続けた。

「胡散臭い笑顔なんだけど、それが嫌味じゃなく似合って…一般人ではないな…と」

小さな私のつぶやきを拾ったシュウさんが、

「言うね〜、"花の貴公子"像を崩さない努力してんだよ。俺は」

あれ?シュウさん、口調が…?


< 82 / 96 >

この作品をシェア

pagetop