強引な次期社長に独り占めされてます!
慌てるように注文をする死神さんをぽやんと眺めて、どうして焦っているのかわからないけど、その姿にクスクス笑った。

頭に包丁が刺さった店員さんがいなくなると、死神さんはメニューをパタリと閉じる。

「……君はもしかして、いろんな事が初めて尽くしなんだな?」

「そうですねー。お酒の事をおっしゃってるんなら。時代にも飲みに誘われた事はないし、歓迎会でもジュースを飲んでました」

ニコニコ笑いながら言うと、死神さんの雰囲気が少しだけ怖くなる。

なんだろう。黒いオーラが見えてきそうじゃない? 死神さんにはぴったりだ。

「あ、そう。じゃ、教えておく。何も食べてないで飲むと、酔いが回りやすいぞ?」

「ああ! 聞いたことはあります! そういう意味での“まずい”でしたかー。美味しい不味いの方だと思いました」

「とりあえず君の行動見る限り、さっきのカクテルは口当たりは良さそうだが、強かったのか……単に君が弱いだけなのか」

どっちでしょうね?

「ちょっと、確かに私……うまくしゃべれないみたいなんで、お休みした方がいいかもしれません」

でも、いつもよりよくしゃべっている気もするんだけど、意識しないとほにゃほにゃしゃべり始めそうな感じもする。

「烏龍茶とおにぎりを頼んでおいたよ。まぁ、まだ少しの判断力は残っているみたいで良かった」

良かったなら良かった。

私はあっさりそれで片付けて、まわりを見まわした。

ちょっと小洒落た居酒屋さん。店内はモダンな和風の造りだけど、その和風の中をテキパキ歩きまわるゾンビやお化けに笑っちゃう。

テキパキしすぎなんだけど。
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