強引な次期社長に独り占めされてます!
「普通かぁ。ま、いいか。じゃあ飲み会に行かない?」

芳賀さんの言う“じゃあ”の繋がりが謎だけど、飲み会の言葉にピクリと小指が動いた。

「えーと。あのー……飲み会は。ちょっと……」

禁酒の誓いを立てたとは言いにくい。

「ダメ? イベントスタッフと飲み会なんだよね。女の子集めないといけなくてさ」

それって“合コン”とか言いませんかね。そんなものは“言語道断”なんですけども。

「普通って事は、高井さんと付き合い始めたってわけでもないんでしょ? ただの飲み会だと思えばいいから」

「え……と」

高井さんとはお付き合いしてはいないけど、違う人が“彼氏”になったんです。とも言いにくい。

会社ではいたって普通の主任に、そんなこと暴露していいものか迷うし、どうしようかな。

でも、彼氏がいるんですとか言ったら、芳賀さんにつつき回されそうな気がするし。

「あなたたち。いい加減にしなさい」

幸村さんにキッチリ睨まれて、お互いに口を閉じた。

幸村さん怖いけど、助かった。
よかったなぁ。と、ホッとしたのもつかの間で、

「松浦。少しいいか?」

クリップボード片手に、主任が背後に立っていてビックリした。

「ちょっと相談ブースに行こう」

「あ。はい……」

事務所を出て、すぐ隣のブースに呼び出されてカチコチに緊張する。

私は呼び出しくらうほど、何かやらかした?
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