強引な次期社長に独り占めされてます!
相談ブースは小さい三畳くらいの小部屋で、折り畳みのパイプ椅子が二脚と、簡易テーブルが置いてあるだけのスペースだ。

ちょっとした面談なら、ここで済まされる事の方が多いけど……。

促されるままにパイプ椅子に座り、目の前の主任を見つめる。

「そんなにかしこまるな。ちょっと注意するだけだから」

主任は真面目な顔をして言うけれど、事務所注意で済まされない事を何かやってしまったんだろうか?

「お前、パソコンのパスワード変えたか?」

「え?」

「個人認証のパスワードだ。前に言っただろう。生年月日以外で設定しろって」

覚えていますよ。しっかり変えましたよ。だから自信を持って言えます。

「変えました」

「一桁変えただけじゃ変えたって言わねぇよ。馬鹿」

あう。馬鹿って言われた……。

え。仕事中に馬鹿?

驚いてまじまじと主任を見ると、鼻で笑ってクリップボードを机に置く。

「せめて英数字含めてパスワード設定しろよ、お前。俺は昨日10分かからずにお前のパソコンにログインしたぞ」

「す、すすすみませ……」

「まぁ、いい。ある程度は把握してきた」

何の話だろう? 黙っていたら、主任は顔をしかめた。
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