強引な次期社長に独り占めされてます!
「だから、顔隠すなって……」

「隠します! 恥ずかしいです!」

「そのうちもっと恥ずかしいことするんだろうに」

ガバッと起き上がって、どうしてそんなに偉そうにしているかは謎だけど、真顔の主任を見た。

……確かに、主任って“俺様”か“ガキ大将”みたいだ。

決定的な意地悪じゃないけど、そこそこ意地悪い。

考えていたら手が伸びてきて、両脇をもたれると引き寄せられた。

「んな……っ?」

そのまま抱き込まれて、あぐらの上に座らされる。

「しゅ……うえ、はらさ……」

「お前は、俺に期待してていいんだよ。いいんだが……タイミングは俺でいいか?」

タイミング……ですか?

すぐ近くに主任の優しい微笑みがあって、ちょっぴり照れたように視線を外される。

「俺も、彼女が出来たのは久しぶりだから、少し待て」

「私が……待つの?」

「ゆっくりいこう。お前はどうせ、まともなデートもしたことねえだろ」

「海にも行ったし、遊園地にも行きました!」

「ふたりでか?」

視線が戻ってきて、今度は私が視線を逸らす。

海と遊園地は、彼のサークルの集まりに呼ばれただけだ。

「ク、クリスマスに、ご飯食べたも……」

「それは下心が見え隠れするから、カウントに入れるな」
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