強引な次期社長に独り占めされてます!
「そもそも……主任がミルクキャンディ持ってるのが、私には想像つかないんだけど」

芳賀さんは呟き、沢井さんが片手を振る。

「悪いがそっちで笑っているわけじゃないんだ。主任が甘党なのは昔からだから、デスクの袖机にいつもお菓子が入ってるのは知っているのだが……」

「あー……そうなんだ? 松浦さんは主任から甘いものをもらったのね? そっかそっか。それで最近の主任はニヤついてるんだ」

ふたりが笑っている意味がよくわからない。

芳賀さんと顔を見合わせていると、幸村さんが水をゴクゴク飲み干して、ピシッと指を突きつけてきた。

「主任が甘いものをあげる女、イコール意中の相手よ。松浦さん。主任に狙われてんのよ」

「え……」

「もしかして、もう付き合い始めてるのか? 最近の主任は間違いなく浮かれてるもんな?」

沢村さんにもニヤニヤされて、頭のてっぺんまで真っ赤になる。

どうして、それがイコールになるのか、私には全然わからないよ?
だけど、先輩ふたりは意味ありげに頷いた。

「なら、営業事務の女たちにはバレない方がいいな。事務所内の人間ならいいが、あそこには主任狙いの女も少なからずいるだろうし」

「まぁ……遠縁って言っても、親戚には変わらないし、玉の輿狙いは多い部署だよね。って言うか、どうせ狙うなら、もっと大企業の縁戚を狙えばいいのにね」

沢井さんと幸村さんの話に、私と芳賀さんはハテナマークを浮かべる。

「遠縁とか親戚ってなんですか?」

芳賀さんが聞くと、幸村さんは当たり前みたいな顔をして紅茶を飲み始めながら呟いた。
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