強引な次期社長に独り占めされてます!
「松浦さんを呼ぶ必要はないって上原くんと、共犯を疑って、念のために松浦さんを呼びたがった社長と。でも上原くんにしたら言いにくいよね。一緒に居ましたとか」

……言いにくいことこの上ないよね。

言われたことを考えながら、もくもくとサンドイッチを食べ始める。

つまり、私は二股かけられていないって事かな。
ちゃんと、私が“彼女”だって考えていてもいい?

考えていたけれど、野間さんの呟きは続いていたから耳を傾けた。

「でもねー。ちょっとおかしいのよね」

「おかしい……ですか?」

「土日は事務所は鍵かけてるのよ。鍵は事務所の主任クラスと部長が管理しているし、一応、警備に予備はあるけど、どうやって宮園さんが入れたのか……」

……いつも、出社すると鍵が開いているから気がつかなかった。

「ずっと調べていたんですか?」

聞いてみると、野間さんはランチを食べながらニコッと微笑んだ。

「ほぼ一年がかりよ。確かきっかけも松浦さんだったけど」

私が?

「なんだったかなぁ。あなた入社してしばらくして、けっこう大きなポカしたよね?」

あれかな。新人の時にやらかした大惨事……あれは瀬戸際で主任が気がついて、発注申請をとめてくれたから助かったけど。

「前の日まで、確認していた正常な数値が、次の日には大幅に変わっていて驚いたみたい」

「……え?」

「ああ見えて、上原くんて細々と部下を見てるのよ? だからあのデスク配置なの。主任席からよく見える位置に新人の松浦さん。隣に教育係ではしゃぎやすい芳賀さんと、引き締め役に幸村さん。野田くんと沢井さんは放っておいても我関せず、黙々と仕事をするタイプだしね」

なるほど……それはとてもよくわかります……。
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