強引な次期社長に独り占めされてます！
お互いに顔を見合わせて無言になった。

こうしてみると……主任って案外話しやすい。いつもみたく、真面目に端的にされていたら実は話しづらいけど。

考えてみれば、お父さんの他に私が顔を見せながら普通に会話が出来ているのって、ハロウィンの時の死神さんと主任くらいかも。

ハロウィンの時は、あれは特殊な例だったけど……。

死神さんは、どこの部署の人だったのかな。

土曜日は普通に事務所は休みだから、たぶんイベンターさんの誰かだとは思うんだけど。

「……しゅ」

主任は……と、言いかけて、片眉が上がったのを見つけて口を閉じる。

「う……上原さんは、何だかお兄ちゃんみたいです」

「それは嬉しくない。お前は人をすぐに身内にしたがるな」

呆れたように笑われて、なんて言っていいか迷う。

「だって……緊張しないでお話しできる男性って本当に少ないですから」

「いいのか悪いのかわからんが、とりあえずお前は笑顔でいればいいと思うぞ？」

「笑顔……ですか？」

楽しくもないのに、笑えないかなぁ。

でも、それはそうかもしれない。
真顔の人より表情が変わって明るい人の方が話しやすいから……。

「混み出す前に昼飯にするか。何か食いたいものはあるか？」

微笑みながら聞いてくるから、考えてはみる……けど。

「特にないです」

「言うと思ったなぁ。ファーストフードは却下。レストラン系で選べ」

どこか偉そうに言われて、小さく笑ってしまった。
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