強引な次期社長に独り占めされてます!
***



「お疲れ様~」

終業時間。人が少なくなって静かになっていく事務所に反比例して、帰っていく人の声は明るく楽しそう。

きっとクリスマスパーティの予定があって、めちゃくちゃ楽しみにしているんだね。

私も帰りたいよ~。

別に予定があるわけじゃないけど、事務所に最後まで残るのは、主任クラス以上の人たちばかりだから緊張するし。
お前まだ“残ってんのか?”みたいに悪目立ちするし。

でも、今日はミスってばかりで、今日の分の書類が……今やっと終わった!

作成した書類をプリントアウトして、枚数を確認して……。

「主任。遅くなりました! 確認お願いします」

「……随分と急いでるんだな。クリぼっちなのに」

……あれ? 主任も随分フランクですね? しかも私、クリぼっちとか言われちゃう系?

不思議そうに言われて首を傾げる。

「すみません。お待たせしてしまいましたから……」

クリぼっちでも、世の中は飲み会になる人もいると思うし。お待たせちゃった事になって本当に申し訳ないと……。

「あー……お前は気ぃつかいだな。俺もぼっちだし、気にするな」

気にしなくていいんだ? 主任もクリスマスひとりぼっちなんだね。

仲間だ仲間だ。

妙な連帯感を持って小さく笑ったら、背後からゆらりと肩に手を置かれる。

「松浦さぁん。手が空いたのね?」

「ひぃ!」

慌てて振り返ると、耳元で地を這うような声を出したのは、野間さんだった。
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