3m先の君に恋愛奮闘中



「未理?」



ーーーハッ



龍の声で現実に引き戻される。




いけない!



一瞬、ここにいる事を忘れてしまってた。


それほど……



「なに?この曲そんなよかった?」



「うん…ていうより」




彼の言葉が。



言おうとすると龍が


「あ。あれ」



なにやら私の頭上を指差した。



指の先をみると



そこにはよく見る高層ビルが立っていて


そこに大きなポスターが貼ってあった。



「あれが“D Grant”」



ポスターには 4人の男性がそれぞれの楽器をポーズをしていた。



「ボーカルは…どの人なの?」




「あー真ん中。イケメンだろ?」




マイクスタンドに手をかざして妖艶に微笑むその人を見た瞬間


目を見開いた。




……なにあれ、本当に人間?



だって何頭身?ってくらいの足の長さと小さな顔。

綺麗に通った鼻筋に形のよい唇。




そして
切れ長の目からは透き通った芯の強そうな瞳がこちらを向いていた。


まるで、「俺について来い」

って言われてるような……



「きれい……」


初めて人を見て美しいと思った。




…あぁ、

私って、やっぱりバカかもしれない。



だって今、


私、彼が




運命の人 だって思った。





今まで否定されてきた理想を受け止められた気分なのかな。




彼の綺麗な声に、美しすぎる容姿に
虜になったからなのかな。



多分どっちもだ。




私の中に



「この人だ………。」




そんな感覚が芽生えた。




「ん?何がこの人?」



龍が不思議そうに首をかしげ、


私の耳からイヤホンを取ろうとする。




私はそんな龍の手を


勢いよく掴んで言った。



「龍!!!

“ D grant ”について、教えて!!!」










こうして私は、彼と出会ったのです。










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