君を想う【実話】


「瑠奈、入るぞ?」


その声に、鼓動が速まる


「う..うん」


尚輝の手がドアに触れた





ガチャッ―





視界に飛び込んできたのは、真っ白な病室



一つのベッド



そこに眠る智也の姿




「智也、きちゃった」



尚輝が出してくれた椅子に、二人は座った



今日も智也の心臓を刻む機械は、乱れることなく鳴っている



こんなに近くで見るのは、半年ぶり..



大工をやっているだけあって、元々筋肉質な体が更に鍛えられている



このベッドは、智也の身長じゃ窮屈そうだ



「俺、売店で飲み物買ってくるわ」


瑠奈がわかった、と言うと尚輝はドアの前で足を止める


「智也のこと襲うなよ?笑」


そう言い残し、笑って病室を出た



いつもこうやって、尚輝は気を利かしてくれるんだんだよね..



瑠奈はそっと、智也の頬に触れた


その暖かさに安心する



「智也、好きだよ..やっぱ離れらんないよ..」



智也の手を握り、呟いた


いつも瑠奈の手をスッポリ包む大きな手


瑠奈は両手でしっかりと、その大きな手を包んだ
< 257 / 436 >

この作品をシェア

pagetop