砂糖菓子より甘い恋1
二の二 桜舞う庭
「龍星、今日はこちらに来ているのだろう」
書庫で一心不乱に書物を読み漁っていた龍星は、近づいてくる騒々しさに眉を潜めた。
あの偉そうな態度、横柄なものいい。
何をとっても気に入らない。
「安倍殿。
帝がすぐそこまでこられています」
書物から目を離さない龍星に困惑を隠さずに、同僚が声をかける。
今、忙しいと口を開こうとした瞬間。
部屋に人が入ってきた。
「龍星」
声が帝でなかったので、驚いて顔を上げた。
困り顔の雅之がそこにいた。
「……どうした、雅之」
「ほら、雅之が居れば龍星も口を利いてくれる」
その後ろでは、帝が無邪気に笑っていた。
今年二十歳になった帝は、どこか子どもっぽさが抜けない。
龍星は鋭く帝を睨みつける。
「雅之も私も業務に追われています。今日のところはお引き取り下さい」
「厭だ。わざわざ出向いてきたんだから話を聞いてもらうまでは帰らない」
帝は上から目線できっぱり断言した。
書庫で一心不乱に書物を読み漁っていた龍星は、近づいてくる騒々しさに眉を潜めた。
あの偉そうな態度、横柄なものいい。
何をとっても気に入らない。
「安倍殿。
帝がすぐそこまでこられています」
書物から目を離さない龍星に困惑を隠さずに、同僚が声をかける。
今、忙しいと口を開こうとした瞬間。
部屋に人が入ってきた。
「龍星」
声が帝でなかったので、驚いて顔を上げた。
困り顔の雅之がそこにいた。
「……どうした、雅之」
「ほら、雅之が居れば龍星も口を利いてくれる」
その後ろでは、帝が無邪気に笑っていた。
今年二十歳になった帝は、どこか子どもっぽさが抜けない。
龍星は鋭く帝を睨みつける。
「雅之も私も業務に追われています。今日のところはお引き取り下さい」
「厭だ。わざわざ出向いてきたんだから話を聞いてもらうまでは帰らない」
帝は上から目線できっぱり断言した。