砂糖菓子より甘い恋1

三の三 夢の行く末

翌朝

まだ、毬が目覚めぬことを確認した龍星は、夕べ遅くまで一緒に飲んだ雅之と共に御所に向かった。

昨日の今日なので、帝のところには簡単に通してもらえた。
挨拶もそこそこに本題に入る。

「本日は、御台様、左大臣様にもご同席していただきたく存じます」

帝がお付のものに告げ、しばらくすると御簾越しに千が現れた。

龍星が丁寧に挨拶をしようとすると

「そのようなものは無用です。

 帝、恐れながら今日は龍星と二人きりで話がしたいのです。

 お許しいただけますか?」

と、毬そっくりな声で言った。

「千がそこまで申すなら、私は構わぬ」

「しかし、左大臣家まで足をお運びいただかねばなりませんが」

龍星が遠慮がちに、しかしきっぱりと言った。

「それも私と龍星だけで良いでしょう」

「それで、私と一緒に花見に行ってくれるようになるのか?」

「はい、それは私がお約束させていただきます」

龍星がきっぱりと言い切ったので、帝は何も言わず席を立った。

千は牛車に乗って左大臣家に向かう。

龍星は先に左大臣家に向かい、人払いをしていた。

しばらくして、牛車が到着し、千が一人でおりてきた。



………毬?



はじめてみた千の姿に龍星は息を呑んだ。

その姿は、今、自邸で眠っているはずの毬と瓜二つだったのだから。
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