砂糖菓子より甘い恋1
視線というのは、本当に人に突き刺さるものだな、と、雅之は妙に感心していた。

龍星に言われたまま、瞳を閉じてここで笛を吹き続けている。
理由を聞こうとしたが、時間がないとか面倒だからとか言って教えてはくれなかった。まぁ、いつもの龍星らしい。
笛を吹いている間は心が落ち着いているので構わないのだが、先ほどから感じる視線が針のように痛い。

空気も、熱を帯びているように感じる。



逃げ出したいというか、
見て見たいというか、

ざわざわとした雑念が胸の奥から湧き上がる。

そもそも、ことは既に起こっているのだ。
目を閉じていようが開こうが、何も変わるものではあるまい。


雅之の笛の音に揺らぎが起きた。

「雅之っ、惑わされるな!」

龍星の声が鋭く飛ぶ。
それは邪気を帯びた空気と、雅之の迷いを切り裂いた。

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