砂糖菓子より甘い恋1
雅之は目を閉じたまま、笛を奏で続ける。切ない調べが満ちていく。

「遠慮しなくていいのよ。いつものように私を抱いて」

千は甘く囁いた。


女を追ってやってきた鬼は、意図的にせよ勘違いにせよ、千と身体を交わし続けたのだ。
桜が散るまでの間。

桜が散ると男も姿を消した。


しかし、再び桜が咲き誇る季節がくると、そいつも現れて、千の身体を奪っていった。

千は怯えている風も悪びれている風もない。

むしろ、欲情を隠さぬ雌の顔でそこにいた。


「それはあなたの望むものではありません」

龍星が冷静に諭す。

「嘘おっしゃい」

千は振り向きもせず、熱い視線を雅之に絡める。
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