『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
『ゆる彼』と暮らしたい…。
決戦の朝、あたしはメグに連絡した。
話を聞いて、彼女はまたしても毒舌ぶりを発揮した。


「頑張ってきて!私も陰ながら応援してるっ!お金持ちの人には分かんない介護の面白さ十分に教えてきて!…分かってもらえなくても愛理には久城さんていう『ゆる〜い彼』がいるんだから大丈夫よね⁉︎ 私の慰めまで必要のないよう願ってるわ〜!」


『ゆる〜い彼』なんて言い方止めて…と言うのに、完全に面白がってる。

また付き合い始めたんだ…と言ったら、「どんな人か顔が見たいから直ぐに写メしてきて!」とLINEに流された。


見せたくないなぁ…と思いながら、彼と二人で初めて撮った写真を送った。
ケラケラ…と笑いながらかかってきた電話で、メグは『ゆる彼』じゃなく『ゆるんでる彼』じゃない!…と叫んだ。


「愛理の好みってこんなんだったんだ…。へぇー意外ー!」


優しそうだね〜と付け足す。
イケメンで通ってるメグのご主人に比べたら、確かに外見は負けてると思うよ。
でもね。


「誰よりも側にいて一番気持ちいいの!一緒に寝てるだけで癒される、最高の『ゆる彼』なんだからっ!」


負け惜しみじゃないからね、完全に自慢よ!…と息巻くあたしに、「はいはい。せいぜいお幸せに!」と言って電話は切れた。

メグほどでは無いにしても、あたしは今、十分に幸せだ。

これからもっと幸せになる。

その為に、あのお屋敷へ行くんだからーーー。



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