『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
「その点なら大丈夫です。ご心配は要りません」


父も母もあたしに負けじ劣らず破天荒な性格の人達だ。
久城家みたいなセレブな家庭に、娘が嫁ぐってだけで喜ぶような感じ。


「せっかくの玉の輿だったのにねー」と残念がられた。
また結婚すると言ったら、「二度と帰ってこないように…」と言われそう。

それくらい大らかだから大丈夫。
諸手を挙げて賛成してくれる筈。


剛さんも思い出した所があったらしく笑いを堪えた。
その様子を見て、仁さんは大きな息を吐いた。


「…長男として、末っ子夫婦にを祖母を任せる道理はないが仕方ない。……婆さんのことを宜しく頼みます。
今後は自分もこの家にもっと顔を出して、相手をしようと思いますから…」


「はいっ!そうして下さい!皆さんも是非!」


あたしの言葉に、ご兄弟はぽかん…とした表情を浮かべた。
それを見比べて、剛さんが我慢の限界とばかりに笑い出す。

…その態度にハッとした。

よくよく考えたらここは施設じゃなく、『ゆる彼』の本宅だった。


それに、あたしはまだ、久城家の人間になってないーーー!



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