『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
「す、すみません!あたしったら、つい大きな顔をして…」


恥ずかしそうに俯いた。
彼女らしい言動に苦笑しつつも、兄姉達は快くそれを引き受けた。


「話は成立したんだから今後の計画を立てよう。愛理はばあちゃんの介護計画も立ててきてる。もう少しだけ、それに耳を傾けてやって欲しい」


……一人での介護は難しい。
俺も一緒に暮らすとは言っても、留守にすることはあると思う。

ばあちゃんと二人きりになって、孤立しないようにしたい…というのが彼女の介護のコンセプト。

要介護申請を出して、いろんな外部サービスを受けたい…と言った。

「外部へ出て行くことは恥ずかしいことではありません。認知症の方は、世間により深く知って頂くことで、理解が深まっていくんです。
あたしはその為にケアマネとして支援を続けてきました。
これからは、その力をおばあちゃんだけに注いで、自分もおばあちゃん本人も満たされる介護をしていきたいと思っています」


賑やかな家になりそうだな…と思った。

大勢の人が集まる場所にこの家がなってくれたら、もう明かりも点かない寂しい場所へ帰らなくても良くなる。


眠り込んでても彼女が玄関先にいる。


それを期待しながら戻ってこよう。


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