『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
「後日の返事をお楽しみに!」とタクシーに乗り込む叔母さんに、にっこり笑って手を振って別れたのだ。


「あたし、今回のお見合いは上手くいった気がする。初めてだけど、ちっとも初めて会った人って感覚しなかったし、食事しながら話も弾んだし、今度いつか一緒にカラオケ行こうね…って約束までしたし…」


話を聞いてたメグから、小さな吐息が漏れた。呆れる感満載で、彼女はあたしにこう言い返してきた。


「その今度っていつの話⁉︎ 日程も決めてなければ、メアドやTEL番を交換したわけでもないんでしょ⁉︎
だったらそんな子供でもできる口約束、心底信じてるの愛理だけだけだって!相手が言ったのは社交辞令!それ以外は無いっ!」


断言するメグは声を荒げた後、はぁーっと深い溜息をついた。


「折角、愛理が一番可愛く見える色の服選んでやったのに、また無駄足だったか…」

自分が一番悔しそうに呟く。


「まだ分からないじゃん!」

反論しようとするあたしに、メグは懇々とお説教を続けた。


「分かるよ!初対面で男性に抱きつく女なんて絶対にまともだと思って貰えないし、下手するとセフレにされておしまい…ってパターンもあり得るでしょうが!」

「セ、セフレ…って……」


ひっどいなぁ…と言いかけたところで、メグん家の長女、葉留花(はるか)ちゃんが泣き出した。
暫しの休憩時間は終了。メグはまたね…と言って電話を切った。


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