〔B L〕朽ちた無花果
「っそ…そんなこと…!」
「ない、と言いきれるのか?」
…言い切れない。
確かに、僕は升也さんに心を許しかけている。
まだ昔のことを話す気にはならない。
升也さんが離れていってしまったらと思うと、怖くて話せないから。
でもこのままでは、昔の事も…
「さっきは止めたが、そのうち自分から昔のこと話すんじゃないのか?」
そうかも、しれない。
でも…
「僕は…それでもいいと思い始めてる。」
「…っ!
どうして…!」
「彼と一緒にいると、楽なんだ。
すべて忘れられる。
それに…なんだか、彼といると今まで知らなかった感情になれるんだよ。
わくわくして…ドキドキして…
とっても忙しい。」
「…俺はどうなんだ。」
「え?」
「俺といるときはどうなんだよ。」
たか君といるときは…
「落ち着く。
たか君の側にいると、落ち着くよ。」
「そうか…」
たか君は、目を細めて少し笑ったように見えた。
昔から、クールで顔立ちがよくて、クラスの女子に人気だったなぁ。
あまり笑わない。
でも、ちゃんと感情がある。
顔には出ないけど、楽しんだり、悲しんだりしてるんだ。
大人になってだいぶ作り笑いが巧くなったみたいだけど、僕の前で作り笑いはしない。
たか君はそういう人だ。