恋する左耳は、嘘がつけない

p.m.

飴細工みたいな甘い声が、頭の中で反響する。


ほんとのこと、とおうむ返しするわたしの頭が、すっかり沸騰して全然回らなくなっているのは、傍目から見ても分かるだろう。

頭が真っ白で、わたしも何が何だかよく分からなかった。


「左京さん左京さん、俺のこと好き?」


ほんとのことって、それかあ。


「えっと、……うん」


至って普通に聞かれて、至って普通に頷いていた。
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