嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


「オープンな性格って言えよ」

もう好き放題だ。

「はいはい、いやそれはいいんだけど、その澤村がさ、もう凄い恐い顔して携帯を見てるときがあってね、よく見たら池上くんの携帯だった」

「なんでオレのだってわかるんだよ?」

「え?だってめっちゃ趣味悪いストラップついてたし」

爆笑が起こる。

そう、澤村には泣かされた。教えてもいないのに同じサークルに入ってきたりマンションの部屋の前で待ち伏せされたり・・・・・。

思えば高校時代からしつこかった。千雪にキスをして好きだと言おうとしたところで邪魔をされたこともあった。

大学2年のときだったか、堪忍袋の緒が切れてはっきり迷惑だと宣言してから関わりもなくなった。

「何よ、黙り込んで。カノジョが恋しくなった?」

空になったグラスを取り上げられ、新しいグラスを渡される。

「うるさいぞ、三条」

「ハタで見ててもベタ惚れだもんねぇ。社食で小城さん叱ったり溺愛を見せつけちゃって」


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