この度、友情結婚いたしました。
「ありがとう、琢磨君。……でも好きに飲ませてあげて。いつも家のことと仕事両立させちゃって、大変な思いさせているからさ」

「俊哉さん……」


あぁ、なんて俊哉さんは奥様思いの人なのだろうか。


世の中の主婦が、どんなに大変な思いで家事と仕事の両立を図っているのか、よーく分かっていらっしゃる。
あのアホ春樹にも、見習ってほしいものだ。


俊哉さんの優しさに真希さんは上機嫌で、おかわりを早速注文している。
そんな真希さんを尻目に、俊哉さんは琢磨にコソッと言った。


「琢磨君も結婚して奥さんが働く人だったら、ちゃんと労わないとだめだよ」

これには琢磨も面食らってしまったようで、なにも言い返せないといった様子。

その横で私はひとり何度も頷くばかりだった。


そうだそうだ。
琢磨も俊哉さんを見習うべきだ。浮気なんて以ての外だし。
労いのひとつやふたつも必要。

さすが俊哉さん!と心の中でひとり絶賛していると、ふと感じる視線。

顔を上げれば、なぜか目の前に座るふたりが私と琢磨を交互に見つめて、異様にニコニコと笑っている。
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